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陀羅尼助(ダラニスケ)という薬を製造したり、販売したりしている店舗は各地にあり、
それなりに繁盛しているのは何故なのか昔から不思議に思っていた。
今回お盆休みを利用して各地の陀羅尼助を訪ねてみた。金沢を出るときは晴れていて熱中症の心配
をしなければならないような天気だった。大阪難波を経由して二時間程で南海電車極楽橋に着き、
立派なケーブルに乗って山頂の高野山に到着した。現地ではバスに乗って街中を目指す。
方々を探してようやく「大師陀羅尼助製薬」の本舗を探しあてることができた。下界と違いここでは
それほど暑さは感じない、さすが海抜千メートルである。この薬の成分はオウバク、リュウタン、アオキの三種類で極めて単純な処方である。真言密教の真実を求め、加持祈祷を重視した修行僧が携帯して病気に備えた。
昔は竹皮に包み、護符状に仕上げたものだが今はもうない。現在は乾燥エキスにした丸薬状のものだった。これを本舗の事務長(社長かな)が丁寧に説明してくれた。私などとてもこんな風にはできない。老舗の面影はないが、余裕を感じさせる風貌であった。その日は大阪駅を経由して京都に宿泊した。翌日は近鉄電車に乗り吉野を目指した。吉野方面にも陀羅尼助の製造や販売している店がある。
橿原神宮前で乗り換え、さらに下市口駅で下車しバスにて一時間ほど乗車し天川村洞川(どろかわ)に着いた。
演歌歌手・多岐川舞子が歌う「天川しぐれ」で知られる天川村には大峰山陀羅尼助製薬の陀羅尼助丸を販売している店舗が街道沿いに十五軒ほどある、その店を一軒づつ訪ねてみた。
この大峰山陀羅尼助丸の成分はオウバク、ガジュツ、ゲンノショウコである。販売店はどの店も作りは立派で次から次へと客が入っていく。ここは洞川温泉という温泉地であるが土産物といえば陀羅尼助丸なのかもしれない。
天気は霖雨というのか雨が降ったり止んだりでうっとうしい日だった。天川神社を訪ねてみようと思い観光案内所で聞くと別の字(アザ)でタクシーで往復すると一万円ほどかかるというのであきらめることにした。洞川温泉の修験者商店街を抜け女人結界を経由して大峰山を登山することもできるが体力と時間の関係でこれも断念した。
その日は下市口市に戻り川上村に宿泊することにした。ここには湯盛温泉・杉の湯というおすすめできるホテルがある。
翌日は近鉄に乗車し吉野駅で下車、オンボロなケーブルに乗り頂上を目指す。
山の上には何十軒も店屋が立ち並び桜の頃や紅葉の時期は観光客で一杯になるというが今は人は少ない。その店屋の並びに藤井陀羅尼助丸本舗がある。訪ねた日はあいにくと休業日だった。
この製剤は全国に卸販売されている。
吉野からも修験道の山、大峰山を目指すことができる。
「親の言うこと聞くか!」
と修験者に諭され鍛えられることで有名な大峰山である。
今度の旅はこれくらいにして帰路につくことにした。この日も散々雨にたたられ、天気には恵まれなかった。