愛媛県にある内子町を訪ねたのは夏も盛りの30°を超える日々が続く時でした。
流れ出る汗を拭きながら大正ロマンの香りが残る街並みを散策した。
今回の旅の目的は内子の町に残る薬屋の商家を見学することだった、
金沢を出発したのは午前9時頃、大阪行のサンダーバードを使い乗り継いで神戸に着いたのは
午後1時ころでした。ついでに、徳島行きのバスに乗り阿波踊りを見物することにした。3時頃には
徳島市についたので武家屋敷の残っている建物を見学し時間をつぶすことにした。阿波踊りは
夕方から始まる。新町川沿いの藍場浜公園内に藍場浜演舞場が設置されている。会場はJRの
徳島駅からすぐの所である。川沿いには数多くの露店が軒を並べ多くの人で賑わっていた。
川を眺めてぼっとしていると、踊り見物の屋形船がせわしなく行きかっているのが見える。
阿波踊りもすばらしかったが、阿波銀行の巨大な建造物がやたらと目に焼き付いた。
翌日は早くから起きて松山行きのバスに乗った。松山では取引のある松田薬品の営業担当が
出迎えてくれた。あいにく休日だったがさしていやな顔もせず付き合ってくれ、おまけに食事まで
ご馳走になり、内子まで送ってくれるという。
内子は松山から宇和島方面へ特急で30分、江戸〜明治時代にかけて、和紙や蝋で栄えた町で
街並みや商家など、当時の面影が残っている。
送ってくれたお礼を述べ吹き出る汗を拭いながら街中を歩いて回った。
全国の観光地で博物館や記念館を訪ねると大概は森閑としてすべてが生きている感じがしない。
建物、備品、道具類が陳列されていてご覧くださいという風である。
歴史のかなたへ置き去りにされた趣で思わず寂しい風が心の中を通り過ぎてゆく。
それらとは内子にある薬屋の商家は一線を画していた。当時の衣装を身に着けた人形さんが置かれている。
中には録音だがしゃべってくれる人形もいる。臨場観が出ていて面白い。
できれば一種類でいいから販売してくれるともっといい。それには美人の女店員が必要だ。
内子の町は電気の進出と時を同じくして寂れたいったのか。
「その薬屋さんの店主や家族はどうしたのですか」と受付の女性に尋ねてみた。余り話したくないみたいで
「もう内子には居ないらしいです」という返事だった。
時代の変化を乗り越えて商売を続けることの難しさを痛感した。
その日は内子に宿をとることにした。
命令口調で窮屈な宿屋だったが、内子で見聞きした感動を帳消しするほどでもなかった。

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